迷いの痕跡を残す

今日は会社の面談だった。

月に１回ペースで面談を行い、

健康状態はどうか、何か変わったことはないかなどを共有している。

休職させてもらっている身ではあるが、

この期間を機に、自分の生き方を見つめなおしている。

よって、絶対に会社に戻るというつもりはなく、

むしろ、ここ最近は「会社」という組織に身を置かない働き方を考えている。

「好きなときに好きなもので好きな場所で仕事がしたい」を目指しているため、

会社勤めになると、どうしてもその実現が厳しくなりそうだからだ。

しかし、とっても迷っている。

面談に行くたびに、心のどこかで、

ちょっとだけ「戻りたいな」と思っている自分がいるからだ。

どういう理由で「戻りたい」と感じるのかは、曖昧だ。

ただなんとなく、自分の「居場所」を感じるのである。

ほんのり安心したりする。

数か月ぶりに偶然会えた社員の方もいて、

「久しぶり」なんて気軽に声なんてかけちゃってくれちゃうものだから、

休職前、数か月いただけでも、

ちゃんと、わたしの場所なんだと、認識しちゃうのである。

しかし戻るとしたら、不安がある。

システムエンジニアという職種は、

しばらくは自分ひとりで生きていくことを前提として選んだ職種だ。

数年間キャリアを積んで、ある程度技術を身につけた頃に、

結婚なり出産なりのライフイベントを迎える想定だった。

ひとりで生きていかないといけないときに、

自分が「面白い」と感じて継続できるもので、

ある程度実力がついたら、ライフステージに合わせて働き方に選択肢が増えるもの。

そういう仕事の選び方をした。

それなのに、人生とは皮肉なもので、

初めて自分の人生計画をまともに立てたというのに、

ずっと一緒にいたい人とこんなに早く事が進んで、

更に病気を患ってずっと家にいて、

買い物をしたり料理をしたり掃除をしたりしているうちに、

自分がどういう人間かということが自分に対して明るみに出てきた。

わたしは、何よりも旦那さんと一緒にいたい。

旦那さんの仕事の都合もある中で、

「自分の仕事の都合」で、一緒にいられる時間を削りたくないのである。

そうする必要がないくらいに、旦那さんに稼ぎがあるとも言える。

そんな中で、わざわざ自分を組織に縛らせたくない。

わたしは、のんびりしている。

自分の仕事を終わらせてから、買い物をして、ご飯を作って、

風呂掃除をして、風呂に入って、洗い物をして、寝て、

また朝同じ時間に起きて会社に行って…が、できない。

旦那さんも家事を負担してくれていても、できないのである。

会社に行けなくなった要因に、その生活もあると思う。

結婚前、実家にいた頃は、すべて母に頼れたから、

なんとかぎりぎり働けていたのだと感じる。それでも毎日しんどかったが。

もう随分実力がついているのであれば話は別だが、

わたしはシステムエンジニアとしてはまだまだペーペーである。

いくら面白いと感じたと言っても、

あくまで仕事として選択したため、昔から好きで…というわけでもないので、

ストレスなく勉強できるまでではない。

それを今からやるには、もう理由もモチベーションもないのである。

旦那さんと結婚前提でお付き合いを始めたときは、

少なくとも子どもができるまでは、自分の中で共働きが絶対だったので、

他の働き方など考えもしなかったし、

自分に無理をさせているとも思っていなかった。

むしろ自分がだめ人間くらいに思っていた。

でも違った。

あったのは、ただわたしがそういう人間だという事実だけであった。

だから、不安だ。

会社員になるということそのものが、自分のストレスになるんじゃないか。

システムエンジニアという職種が、自分のストレスになるんじゃないか。

何よりも、いま自分が、

会社員でOK！システムエンジニアやりたい！

と思っていないことが、一番の問題だ。

しかし、わたしはあの会社の人たちが好きだ。

オフィスの空気感も好きだ。飲み会があったら行きたい。

でもな。遊びに行くんじゃないんだから。

今日は、面談で行ったから、仕事で行ってないから、

そう思えただけだよ。とも思ってしまうのである。

同時に、構えすぎじゃない？とも思ったりする。

迷っていて、戻るっていう選択がけっこう簡単にできることなら、

まず戻ってみればいいじゃない。

そうすると、わたしの心の奥底から、

ぼそっと「戻りたくない」と聞こえてくるのである。

まだ戻らなくても大丈夫だから、「戻りたい」と少しだけ思える、

こういう現象に、名前はついていないのだろうか。

なんにせよ、今は「戻りたい」という気持ちが少しでも出てきたところで、

実際に戻るほどエネルギーがない。

「よーし、戻るぞ！」と思わずにいられない限りは、

戻るにしても、戻るにはまだ早い。きっとまたすぐ潰れる。

「暇だな。戻ってみるか。」くらいになるまでは、

他のことをしていようと結論づけようと思う。